ワーケーションにThinkPadを推奨する理由

ワーケーションではノマドワークで仕事をすることが多いが、出先の作業環境はオフィスとは違った不便さやリスクがあるもの。そこで筆者がお勧めしているのがLenovoのThinkPadシリーズだ。作業環境を選ばずにいつでもどこでもサクサクと仕事がはかどるThinkPadは、ワーケーション最適マシンではないかと勝手に思っている。
一方でThinkPadは高性能&高機能ゆえに価格帯も高額で、一般的なサラリーマンにはおいそれと手を出しづらいのも事実。しかしThinkPadは程度の良い中古マシンが多く流通しており、他のメーカーの機種に比べてカスタマイズがしやすい。そこで今回はX230に引き続き、中古のThinkPad X270を格安でゲットしてリビルトし、リーズナブルに活用してみようという企画だ。
ノマドワーク最適マシン ThinkPadの魅力

さて、本題に入る前に、なぜThinkPadがノマドワークに良いのか?またなぜThinkPadの中古マシンを活用するとコスパが良いのか?ということについて簡単に解説したい。詳細については別の記事でThinkPadの魅力をとことん語っているので、よかったらこちらも読んで頂ければ幸いである。
PCを爆速で操ることができるトラックポイント

トラックポイントとはキーボード中央の赤い小さなキャップだ。パームレストのスクロールボタンとクリックボタンを併用すると、いちいちキーボードから手を離さずともパソコンを操作でき、さらにショートカットキーを駆使すると作業スピードは爆速モードに突入する。マウスの携行が不要となるのも便利。
長時間のタイピングでも疲れ知らずなキーボード

ThinkPadの魅力としてあげられることが多いのが秀逸な操作感のキーボードだ。カチッとした節度感がありつつストロークが深くて柔らかいキータッチは長時間のタイピングでも疲れ知らず。入力しやすいということはミスも減るということであり、自分のタイピングスキルが上達したかのような錯覚に陥る。
作業環境を選ばない堅牢な造り

ノマドワーク=室内とは限らない。時には砂埃の舞う公園のベンチで作業したり、移動中に突然の雨に見舞われることもあるだろう。しかしThinkPadは見た目のスマートさとは裏腹に、落下テスト、防塵テスト、防水テストなどの過酷なテストを繰り返して開発されているので出先でも安心して使える。
高額なThinkPadは中古マシンを狙おう
冒頭で述べたように高性能で高機能なThinkPadの新品価格は高い。たまにLenovoが販促キャンペーンを行って10万円前後のディスカウントプライスのマシンが出回ることもあるが、ほとんどがワーケーションにはちょっと重たいEシリーズなどで、携行性の良くて人気のあるXシリーズやTシリーズだと15~30万円の価格帯が一般的だ。
この価格帯でもゲーミングマシンよりはるかに安いが、それでも一般的なサラリーマンにとって購入に踏み切るには少し勇気のいる出費であることは間違いない。しかし家電量販店の格安ノートPCに走るくらいなら、むしろ数年落ちの中古ThinkPadを購入した方がずっとコスパがいいと筆者は考えている。その理由をいくつかあげると以下のとおり。

CPUが高性能なので長く使える

家電量販店で売られている激安PCが搭載しているCPUはCeleronなどのチープなものであることが多く、新品で購入して2~3年もすると動作がもっさりしてくるが、ThinkPadは最低でもCore-i3以上なので、動画編集などの重たい作業を行わない限りは長く使える。
普遍的なデザインなので古臭く見えない

基本的にThinkPadといえばどのシリーズのどのモデルでも黒一色の筐体にThinkPadロゴをあしらっただけのシンプルなデザインで統一されている。これはThinkPadがすでに仕事道具として完成された普遍的デザインの域に到達しているということだが、ゆえに旧モデルでも周囲に対して引け目を感じず、淡々と仕事に集中できるのだ。
程度の良い中古マシンが多く流通している

ThinkPadはビジネスユースの法人ユーザーが多く、特に売れ筋のXシリーズやTシリーズは会社単位で一括購入されるため、更新時期になるとまとまった数の中古マシンが市場に流通する。さらに多少のアタリハズレはあるが、職場で丁寧に使用されていたケースが多いためか、全般的にコンディションが良い。
X270リビルトの事前チェック
筆者のX270について

ThinkPad X270は2017年発売で、新品の定価は18万~20万円くらい。筆者は2020年の夏に3年落ちの中古モデルを50,000円で購入したのだが、購入時のスペックはCPUがintelの第7世代Core-i5、RAMが4GB、ストレージは464GB SSD、液晶はTN型だった。
筆者はマイクロソフトオフィスではなくGoogle Workspaceをメインで利用しているため、X270のCPUやストレージのスペックは全く問題ないが、メモリが4GBではマルチタスクはこなせないし、TN液晶ディスプレイでは屋外での視認性が悪くて作業効率が落ちそうだ。
このあたりの事情も踏まえてX270のリビルトを検討してゆきたい。
リビルトのポイントまとめ
その① トップケースの外装の汚れ

どこかの企業で使われていたらしく、トップケースの表面に備品管理票のシールをはがしたような跡が残っている。中性洗剤を含ませたタオルで拭いてみたがビクともせず。
これはシールの糊が残っているというより、トップケースが日焼けして跡がついてしまったようだ。擦り傷も多くて使用感というかヤレ感がハンパないので丸ごと交換する。
その② キーボードのテカリとガタ

キーボードはかなり使い込まれた状態で、摩耗によるキートップのテカリが目立つ。このテカリゆえに特に夏の汗ばむ季節には、指先がキーに引っかかりタイピングしずらいのだ。
また、いくつかのキーに劣化によるガタが見られ、タイピングミスを誘発してストレスになっていたので、前回のX230の経験を活かしてキーボードユニットを交換する。
その③ 液晶ディスプレイの解像度改善

不覚なことにX270の液晶ディスプレイ交換作業の画像データを紛失してしまった。よって大変申しわけ無いが前回のX230の例で説明させて頂きたい。
購入時にX270に搭載されていた液晶ディスプレイは低スペックのTN液晶。最新のIPSフルHD液晶ディスプレイに比べると、視野角が狭く(斜めから除くと画面が青白く見える)、画質も粗いので交換する。X270であれば解像度(画質のきめ細かさ)アップも期待できるだろう。
その④ メモリ容量の増設

メモリがたったの4GBではマルチディスプレイはかなり厳しい。ちょっと込み入った作業をするとすぐにフリーズしてしまうだろうことは想像に難くない。SaaSメインでタスクをこなすにしても、データポータルなどのBI(ビジネス・インテリジェンス)をガンガン使うためやはり16GBは欲しいところ。
その⑤ LTE通信機能の追加

Xシリーズの最大のアドバンテージはThinkPadシリーズの中でもコンパクトかつ高性能であることだが、ゆえに電車の移動中だろうと、レストランで食事が運ばれてくるまでの待ち時間だろうと、スキマ時間を徹底的に活用したい。しかしいちいちスマホを取り出してテザリングするのは億劫なのでLTE化する。
部品の調達
再びAliExpressを使ってみる

前回同様にAliExpressを利用して格安でパーツを調達する。納期は3週間ほどかかるものの、厳重かつ丁寧な梱包で破損などは皆無。荷物が国内に入ってからは佐川急便によってデリバリーされるので安心。
納品パーツのチェック

納品されたトップケース、キーボード、ベゼルカバーなどを仮置きして組付けチェックを行う。X230同様に今回もネジ穴やパーツ固定用のツメなどの位置ズレは無し。
価格もAmazonなどで購入するより半額程度で済むので、納期に余裕があればAliExpressはなかなか便利だ。
X270をリビルトする
電源を落とす
外部バッテリーを取り外す

本体を裏返しにして外部バッテリーを取り外す。バッテリー両サイドのノッチを左右にスライドさせて、バッテリー本体を外側へ向かって水平に引き抜くと簡単に外すことができる。
内蔵バッテリーの電力供給をシャットアウトする

X270は外部バッテリーと内蔵バッテリーのツインバッテリー方式だ。分解中のショートを防ぐために内蔵バッテリーの電力供給を無効化する必要がある。
AC電源アダプターを抜き、①内蔵バッテリーだけにしてX270を再起動し、②画面が真っ黒になった時に「F1」キーを連打してBIOSの画面を表示、③「→」キーで「Config」タブを選択、④「↓」キーで「Disable Built-in Batteru(内蔵バッテリーを無効化する)」を選択、⑤最期に「Enter」キーを押すと、内蔵バッテリーからの電源供給をシャットアウトできる。
ボトムケースの取り外し
ボトムケースのネジを外す

ボトムケースは8ヶ所のネジを緩めて外す。ネジは完全に緩めてもボトムケースから脱落しないように加工されていてありがたい。
なお本体や基盤の破損防止のために、作業台にクッションシートを敷いてから作業すると良いだろう。筆者はキーボードを梱包していた発泡スチロールで代用した。
ケースを固定しているツメを外す

X270はボトムケースとパームレストをツメで噛み合わせてからネジを締めて固定する構造となっているので、接合が緩そうな隙間を探って、粘土用のヘラで慎重にツメを外してゆく。
筆者のX270は本体の左側手間にあるスロットカード搭載用スペース(ダミー)が緩そうだったので、とりあえずここから攻めてゆく。X270の分解作業の難所のひとつだ。
メモリカードの交換・LTEのモジュールの取り付け

ボトムケースとパームレストを分離した状態。実は液晶ディスプレイのみならず、メモリカードとLTEモジュールの取り付け作業の写真も誤って削除してしまったので、残った画像データをもとに最初に解説しておく。大変申し訳ない。
まずメモリカードだが、左右の固定ピンを外側に押し広げてから、メモリカードをスロットから引き抜いて差し替えるだけ。LTEモジュールは、Wi-Fiモジュールの隣にある空きトレーにLTEモジュールをセットしてからネジ1本で固定すれば完了。
マザーボードを取り外す準備をする
X270のキーボード交換はX230と違っていったんマザーボードを取り外す必要があるが、その前にマザーボードに取り付けられているパーツ類を全て取っ払ってしまわねばならない。とにかくたくさん取り外すので順を追って説明してゆく。
内蔵バッテリーのはずしかた

内蔵バッテリーは右側1本、左側2本のネジで固定されており、左側のコネクターでマザーボードに接続されている。コネクターは端子の両端をつまんで水平に引き抜くとはずれる。
SSDのはずしかた

SSDは右側のネジ1本で固定されており、SSDの右端を持ち上げてから右斜め上に引き抜くと取り外すことができる。SSDのコネクターはロックピンを90度上側に引き上げ、オス端子を水平にスライドさせてはずす。
スピーカーのはずしかた

左右のスピーカーはそれぞれ2本のネジで固定されているので、まず合計4本のネジを外す。
スピーカーのケーブルは右側が赤黒、左側が青白(写真はマシンの上下をひっくり返した状態で作業しているため左右が逆)なので、取付時に左右を間違わないように予め写真を撮っておきたい。コネクターはオス端子の左右のつまみをつかんで水平に引き抜くと外れる。
キーボード周辺のコネクターのはずしかた

キーボードまわりのコネクターを外す。写真中央のフレキシブルケーブルの先にある黒いコネクターはタッチパッドと指紋認証装置用、その右隣の青いコネクターはキーボード用だ。
それらの上にある2つの小さな赤丸の右側はAC電源用、左側はWebカメラ用のコネクターになる。手違いで赤丸をひとつ入れ忘れたが、これら小さな2つの赤丸の真ん中あたりに液晶ディスプレイ用のコネクターがある。詳細はこの後に続けて説明したい。
CMOS電池(画面右下にある小さな黄色い部品)のコネクターも外しておく。CMOS電池とは、別名システム電池とも呼ばれており、BIOSの記憶データを保持するために微細な電力を供給するパーツだ。
AC電源アダプター用コネクターのはずしかた

先程の写真をパーツごとに拡大して改めて説明する。まずAD電源アダプタ用のコネクターをはずす。端子を引く抜くだけでOKだ。
液晶ディスプレイのコネクターのはずしかた

先程の写真で赤丸をつけ忘れたのがこちら。液晶ディスプレイのマザーボード側のコネクターは先のAC電源アダプターとWebカメラのコネクターの間にある。
取り外し方はオス端子を垂直に引き上げればOK。くれぐれも横着してコードを引っ張って断線させないように注意。
Webカメラのコネクターのはずしかた

最後にWebカメラのマザーボード側のコネクターを外す。隣のグレーの配線がディスプレイ上部にあるWebカメラと連結している。これも垂直に引き抜くタイプだが、ここまでできればマザーボードを撤去する準備は概ね完了だ。
トップケースを交換する準備をする
ベゼルカバーを取り外す

ここでトップケースを分解する。X270はX230と違ってトップケース周りにネジが使われていないため、丁寧かつ慎重に作業してゆく必要がある。
ベゼルカバーをはがす時は、多少失敗しても跡が目立たないようにカバー下側からヘラを入れ、上へ向かってペリペリと優しくはがしていった後に、ベゼルカバー上部を手前に傾けて底辺側のツメを外してから、上部へスッと引き抜くと上手くゆく。
液晶ディスプレイ側のコネクタを外す

X270の液晶ディスプレイは、X230のようにトップケースにネジ留めされているワケではないのでベゼルカバーを外すだけでパタンと前に倒れてくる(ゆえにあらかじめクッションなどを敷いておくことをオススメする)。
液晶ディスプレイのコネクターはロックピンを上に跳ね上げてから、コネクターの端子を水平に引き抜くとはずすことができる。これでマザーボード側もディスプレイ本体側もコネクタが外れたので、ケーブルを紛失しないようにきちんと保管しておく。
Webカメラとケーブルを外す

Webカメラとそのケーブルは新しいトップケースに移植するので取り外す。Webカメラはトップケース裏に両面テープで貼り付けられているだけなので、マイナスドライバーなどで優しく丁寧にはがす。
Webカメラのケーブルは端子を手前に引き抜けばOK。Webカメラ本体とケーブルも紛失しないように大切に保管しておく。

マザーボードを取り外す

いよいよマザーボードを取り外す。マザーボードは▲マークのついた5本のネジと、メモリカード下のプラスチックの突起でパームレストに固定されている。
液晶ディスプレイやマザーボードなどが撤去されてスッカラカンになったトップケース(左)とパームレスト(右)

マザーボード保護カバーを取り外す

マザーボード保護カバーとは、キーボードの隙間から侵入してくる水やホコリから基盤を保護している白い樹脂製の覆いのこと。6ヶ所のネジでパームレストに固定されているので丁寧に外してゆく。
壁に立てかけてあるのが旧いパームレストとキーボード、手間の発泡スチロールの中にあるのが新しい方。先程取り外したパーツをここにどんどん移植してゆく。

新しいパームレストとキーボードの取り付け
タッチパッド、指紋認証センサー、CMOS電池の移植

新しいパームレスト(左側)に新しいキーボードをセットし、タッチパッド、指紋認証センサー、CMOS電池を移植してゆく。
CMOS電池は事務用の両面テープで新しいパームレストの裏側に貼り付けるだけ。タッチパッドと指紋認証センサーはちょっとひと手間かかるので追って説明する。
タッチパッドのフレキシブルケーブルを取り外す

X240以降のモデルにおいて、キーボードを交換を行う際の「最難関ポイント」がフレキシブルケーブルの脱着だ。
タッチパッドと指紋認証センサーをマザーボードに接続する薄いフィルム状のフレキシブルケーブルがパームレスト裏に接着されており、これを断線せずに上手にはがす必要がある(写真の赤三角部分)。
タッチパッド可動部の真下に防水フィルムがガッチリと貼ってある。フィルムを垂直に立てつつ、ケーブルを断線させないように慎重にゆっくりとはがしてゆく。

タッチパッドと指紋認証センサーを取り付ける

タッチパッドは右下へ傾けてパームレストに差し込んでから、左側のネジ2本で固定する。指紋認証センサーは、センサー本体(写真左下)をパームレストに差し込んでから、留め金(写真左上)を被せてネジ1本で固定する。
ヒンジとバッテリーマウントステーを移植する

トップケースとパームレストをつなぐ左右のヒンジを移植する(写真上部)。また内蔵バッテリーをマウントするステーも移植する(写真右下)。
マザーボード保護カバーを移植する

新しいパームレストにマザーボード保護カバーを移植する。6ヶ所のネジで固定する前に、念のためにキーボードとタッチパッドなどがきちんとパームレストに組み付けられているかパームレストをひっくり返して確認しておく。
ネジやケーブルの紛失に備え、梱包用発泡スチロール箱の中に取り外したパーツを保管する。またコネクタの接続方向を失念しないように付箋にメモ書きして貼っておくと後で便利。

マザーボードの移植
LTE&Wi-Fiアンテナケーブルの位置決め

LTE&Wi-Fiアンテナのケーブルをヒンジに空けられた隙間を通して本体に引き込み、LTEモジュールとWi-Fiモジュールにそれぞれ接続するのだが、マザーボードを取り付ける前にLTEとWi-Fiアンテナケーブルの位置決めを行う。
ヒンジの隙間が極めて狭小なため、本体を組み立てる前にケーブルのどこらへんをヒンジに通すのか見当をつけておかないと後々調整がきかずに厄介なことになるからだ。
マザーボード裏にLTEとWi-Fiのケーブルをはわせる

LTE&Wi-Fiケーブルはマザーボードとマザーボードの保護カバーの間を通るため、事前に保護カバーのガイドにケーブルを配線しておく。
マザーボードとスピーカーの移植

マザーボードのメモリ左下あたりにツメがあるので、まずこの部分をパームレストに引っ掛けてから、5本のネジでマザーボードを固定する。マザーボードを固定できたら左右のスピーカーも取り付ける。
内蔵バッテリーとSSDの移植

内蔵バッテリーとSSDを移植する。内蔵バッテリーはネジ3箇所、SSDはSSD本体を左下に差し込むようにセットしてから、右側のネジ1本を留めて完了。
最後に各種コネクター(赤い四角)を接続してゆく。
左上から右下に向かって、Webカメラ→LTEモジュール→Wifiモジュール→(その真下)SSD→内蔵バッテリー→キーボード(幅広の黒)→スピーカー→タッチパッド&指紋認証装置(青白)→CMOS電池と続き、最後に右上に戻ってAC電源アダプターをつないで完了。
ちなみに液晶ディスプレイのコネクターのみ後から接続する。
トップケースにWebカメラを移植する

旧いトップケースから取り出したWebカメラを新しいトップケースに取り付ける。
カメラ本体の左右の切り欠きをトップケース裏の突起に合わせてから、事務用の両面テープで軽く留めるだけ。下から付き出している2本の銀色のシールは最後にカメラに貼り付ける。
銀色のシールはちぎれやすいので、爪楊枝などを使い、細心の注意を払って貼り付ける。恐らくカメラが帯電した時にアースの役割を果たすのではないかと勝手に想像している。

LTE&Wifiアンテナを取り付る

LTE&Wifiアンテナは銅板製で、両面テープでもってトップケース裏に貼り付ける。写真の大きい赤枠の方がLTE用、小さい赤枠の方がWi-Fi用だ。
アンテナケーブルをトップケース裏に配線する

アンテナケーブルをトップケース両端裏の溝に這わせ、最後にヒンジ付け根のガイドに通してネジを締め付ける。
アンテナケーブルはLTE用の赤&青とWifi用の黒&グレーの計4本だが、ここの処理が雑だとベゼルカバーがパチンとはまらないので、たるみをつくらないように丁寧に作業する。
なおこれはLenovo純正のLTE&Wi-Fiアンテナキットで、あらかじめLTEとWi-Fiのケーブルが結束されて納品されるため、もともと貼り付いていた旧いWi-Fi用アンテナとケーブルは廃棄してしまって構わない。
アンテナケーブルをモジュールに接続する

アンテナケーブルをそれぞれLTEモジュールとWi-Fiモジュールに接続する。端子に接続すべきコードの色が表示されているのできちんと確認してから作業したい。
最後に余ったケーブルをヒンジ横のスペースに収納するが、ここもちきんと処理しないとボトムケースを取り付ける際に隙間が空いてしまう。かなり苦戦する難所だが頑張ってゆこう。
新しい液晶ディスプレイの取り付け

配線が完了したらIPS液晶ディスプレイをトップカバー裏にセットする。ディスプレイをキーボード上に寝かせた状態でコネクターを水平に差し込み、ロックピンを下ろしてコネクターを固定すればOKだ。
あとはディスプレイをトップケースにはめこんで、ベゼルカバーを取り付ける。ベゼルカバーの底辺部分をトップケース下部の突起に合わせてから、下側から上側に向かってパチンパチンとツメをハメ込んでゆくときれいに接合できる。
ボディの組付け
ボトムケースを取り付ける

長かったX270リビルトプロジェクトもようやくゴール。ボトムケースとパームレストのツメをかみ合わせてから、8本のネジを締めて本体をしっかりと接合する。
なおボトムケースとパームレストがしっかりと噛み合わないときは、面倒でもいったんボトムケースを取り外して、何が支障となっているのか冷静にチェックしたい。
ThinkPadはキーボード中央にトラックポイントマウスがあるため、裏面から力まかせにボトムケースを押し付けると液晶ディスプレイを破損してしまう(経験談)。
外部バッテリーの装着

外部バッテリーをセットして6時間に及ぶ施術は完了した。
前回のX230と違ってX270では高性能化と薄型化が一挙に進んだためか、狭いスペースの中にたくさんの機器類を押し込まねばならず、非常に難儀したが、ここまで無事にたどり着いてなんだか妙に達成感というか、充実感がある。
システムを復旧する
起動~システム日時の再設定

今度はACアダプターを接続してからX270を起動する。少し間を置いてから最初にBIOS画面が表示されるので、矢印キーで「Date/Time」タブを選択して「System Date」と「System Time」を設定する。
実は通常の再起動であればすぐにWindows画面が表示される。しかし今回はいったんCMOS電池を外したので、BIOS自体が停止してシステム時刻がリセットされてしまった。よって、システム時刻の再設定作業が必要となるのだ。
Windowsの時刻調整を確認する

システム日時の設定が終わると、無事にウインドウズOSが立ち上がった。Windowsの時刻が自動調整されているか画面右下を確認してみたら問題なし。
後は念のためにネットに接続したり、エクスプローラーを覗いたりして、無事にシステムが復旧しているか動作確認を行う。
LTE接続の設定

Lenovo公式サイトから、LTEモジュールのドライバーをダウンロードして「携帯ネットワーク」を使用できるようにする。画面上でしっかりとLTE電波を拾っていることが確認できた。
念のためにスマホテザリング(写真の「モバイルホットスポット」)もチェックしてみたが、受信は全く問題なく行える。これはますますノマドワークが便利になりそう。
Lenovo Sierra EM7430 WWANドライバー(Windows10 64Bit)ThinkPad
X270リビルトまとめ
リビルトが完了した我がX270

長丁場の施術だったが、なんとか無事に完了してホッと一安心。
この後、mineoの「パケット放題Plus」を契約し、X270にSIMを挿して1年ほどあちこちでバンバン使い倒していたが、いつでもどこでもノートPCを開いた瞬間にネットにつながる快適さは一度味わったら病みつきになる。
mineoは「シングルプラン(10GB)」+「パケット放題Plus」+「SMS」を組み合わせて月々1,873円で、基本的には「パケット放題Plus」で作業しているが、1Mbpsの通信速度があれば全く問題ない(プランと料金は2021年夏時点のもの。直近の内容はmineoの公式サイトよりご確認ください)。
さらに屋外でも液晶ディスプレイの視認性は良好、タイピングの操作感も大幅に改善されたので、いつでもどこでもスキマ時間があればサッとX270を取り出して作業できるようになった。
今回使用した工具

今回使用した工具はプラスドライバー2本、マイナスドライバー1本、そして粘土工作用のヘラ1本。これらは全て100均ショップで購入し、かかった費用は合計でたったの220円。