
GMSがディベロッパー事業に乗り出す事情
北海道経済のニュースサイト「北海道リアルエコノミー」が昨日アップした記事によると、イオン北海道が組織改編を行い、今期から本格的にディベロッパー事業に参入することになったようです。
イオン北海道、不動産賃貸収入増加を狙いディベロッパー本部新設(リアルエコノミー2025/5/2)
リテール業界におけるディベロッパー事業とは、ショッピングセンターの運営会社として、商圏の特性に合わせた特定のコンセプトに基づき、核テナントと専門店を誘致し、商業集積を形成・運営することをいいます。
これまでイオン北海道は、ディベロッパーに誘致される核テナントの立場でした。今回、ディベロッパー事業へ進出する理由は、本業である小売部門の収益性の悪化を、安定したテナント収入で補填するためです。
GMSの低収益性は今に始まったことではない
収益性悪化の主な要因は、固定費の重いGMS(総合スーパー)業態ですが、これは今に始まったことではありません。しかしかつてのGMS業態は、収益性の低さを補って余りある圧倒的な集客力を有していました。
実は私は学生時代に某GMSでアルバイトしていたことがあり、業態の内情をよく知っています。当時は巨艦店主義の全盛期で、大手は店舗規模を競い合い、遂には遊園地や映画館を併設したGMSまで登場したものです。
しかし現在では、物価高と円安による仕入価格の上昇、燃料費や人件費の高騰などといった要因により、GMS業態はおろか、SM(食品専門スーパーマーケット)業態の収益まで悪化しています。
さらに広範囲の商圏を想定していたGMS業態にとって、高齢化の進展やガソリン価格の高騰によって、消費者の買い回りエリアがどんどん縮小していることも逆風となっています。
地場中小リテーラーが採るべき戦略とは?
このような状況下において、地域に根差した中小リテーラーが採るべき戦略は「インテリジェンス経営」です。勘と経験頼みの前時代的な商売から脱却し、自店の商圏エリアの消費者に響くような戦略MDを展開するのです。
MD(マーチャンダイジング)とは品揃えのことです。自ら商品を開発・製造できない多くのグロサリー&デイリー部門において、商圏に密着した独自の品揃えを展開することで、競合との差別化を図る強力な武器となります。
一方の生鮮3部門と惣菜部門はオリジナリティ溢れる商品開発と適切な原価コントロールがポイントです。すでにIYグループが非生鮮部門をテナントに切り替え、ペリシャブルに注力する戦略に転換しましたが、それと同じです。
あまり知られていない大手チェーンの弱点
世間ではあまり知られていませんが、大手チェーンで販売課長を務めていた経験から申し上げると、大手チェーンが個店単位でのきめ細やかなMDを展開することは、そのビジネススキームゆえに、実はハイリスクです。そしてその理由は大きく二つあります。
一つは、品揃えの画一化によるローコストオペレーションこそチェーンマネジメントの鉄則ですが、地域密着MDを展開することで、オペレーションが多様化&複雑化し、コスト増を招く恐れがあること。
二つめは、個店レベルに仕入れ権限を移譲することで、全社的なスケールメリットを維持できなくなり、メーカーや卸売に対して、大手ならではのバイイングパワーを発揮できなくなることです。
インテリジェンス経営を実現するには?
したがって、地域の中小リテーラーが採るべき戦略は、大手チェーンの売り方に追随することではなく、大手チェーンゆえに手が出せないマーケットを、独自のノウハウを結集して徹底的に攻めまくることです。
ただし、これには科学的アプローチによる商圏分析と販売管理、そして合理的な人時コントロールが前提となります。これらは大手では当たり前のことですが、地場中小ではメソッドの存在すら知られていないのが実情です。
もしこれらの方法を知りたいという経営者の方は、ぜひご相談ください。私の本業は人事コンサルですが、リテール時代にはCVS本部と大手スーパーの不振店対策チームにおりましたので、相応のノウハウがあります。
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