
電子申請導入に最低限必要なツールを紹介します

行政サービスの電子申請システムは多種多様であり、ログインの方法も複数存在します。電子申請に際して電子証明書が必要な届出もあり、初めて電子申請する場合は、どんなツールをどのように組み合わせたらよいかわからず、電子申請をためらうケースは少なくありません。
そこで本記事では、人事に関する電子申請を行う際に、最もオーソドックスなツールを中心に、それぞれの機能と大まかな使用方法などを解説します。本記事のツールを揃えておくことで、特殊な事例を除き、ほとんどの届出を電子申請で行うことができるようになるでしょう。
e-Govは電子申請できる行政手続のポータルサイト

e-Gov(イーガブ)は、電子申請可能な各種行政手続を収載したポータルサイトです。e-Govに収載されている行政手続は各省庁にまたがり、中でも厚生労働省の収載数が突出して多いです。e-Govを利用すると届出から処理状況と結果の確認、公文書の取得まで完結できます。
e-Govを使用するには、まずご自身のパソコンにe-Govのアプリケーションをダウンロードしなければなりません。e-Govのログイン方法は、①e-Govでアカウントを作成する、②Microsoftのアカウントもしくは③g-BizIDを用いるの3通りです(本サイトではg-BizIDを推奨します)。
なおe-Govの届出様式は原則として単記式です。また障害者雇用納付金の申告などe-Gov以外の専用サイトから電子申請しなければならない届出があったり、36協定のようにe-Govに様式が収載されている一方で、厚生労働省のサイトからも電子申請できる届出も存在します。
g-BizIDは各種行政サービスの共通アカウント

先に述べたとおりe-Govにログインする方法には3通りありますが、g-BizIDはe-Tax(税務申告の電子申請サイト)やミラサポ(補助金の総合情報サイト)などといった他の電子申請システムにもログインすることができる、各種行政サービスの共通認証アカウントです。
g-BizIDにはプライム、メンバー、エントリーの3種類があり、事業者が従業員に関する届出を電子申請しようとする際に利用できるのはプライムとメンバーです。通常は事業主がプライムを取得し、権限の制限されたメンバーアカウントを作成して事務スタッフに使用させます。
g-BizIDプライムの取得方法は郵送での請求とスマホアプリを使用する方法の2通りです。前者は申請書に実印を押印した上で印鑑証明書を添付しなければならず、取得まで2週間ほどかかります。後者はマイナンバーカードさえあれば、即日のうちにアカウントが発行されます。
社会保険届出書作成プログラムは連記式様式

e-Govの届出様式は単記式なので、複数人の従業員の届出を一括して行うことはできません。そこで日本年金機構のサイトから、社会保険届出書作成プログラムをパソコンにダウンロードすると、連記式のデータを作成できますので、e-Govと併用するケースが多いです。
社会保険届出書作成プログラムで作成した連記式のファイルは、e-Govから電子申請を行う際に総括データに添付して所轄の官公署に送信しますが、社会保険届出書作成プログラムからそのまま送信したり、処理状況および処理結果を確認したりすることができます。
なお社会保険届出書作成プログラムで作成できる届出の種類は、社会保険や雇用保険の被保険者資格の得喪届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届に限られます。さらにダウンロードできるパソコン(動作確認済)は、今のところウインドウズOSのみなので注意が必要です。
これから届出書作成プログラムを利用開始する方(日本年金機構)
電子証明書とは電子版の印鑑証明書

電子証明書は、電子申請の届出人が本人であること、また届出の内容が改ざんされていないことを、認証局と呼ばれる第三者機関が証明するものです。電子証明書が添付された届出は強力な法的証拠力を有しているため、電子証明書は電子版印鑑証明書とも呼ばれています。
これまで解説してきたe-Govやg-BizID、社会保険届出書作成プログラムは全て無料で利用できますが電子証明書は有料です。電子証明書は認証局が発行し、1ヶ月~3年間の有効期限があります。電子証明書を取得したり更新したりする際に、認証局に所定の手数料を支払います。
電子証明書はファイル形式で発行されます。通知書の案内に従って、指定のWebサイトから電子証明書ファイルをダウンロードし、ウインドウズPCの場合は「コントロールパネル」→「インターネットオプション」→「コンテンツ」→「証明書」タブにインポートします。
その他準備すべきこと

電子申請に必要なツールやサービス以外に準備すべきこととして、電子申請を行うパソコン端末を用意します。電子申請に使うパソコンは特段高性能である必要はありませんが、ダウンロードアプリとの相性を考えるとウインドウズOSのマシンが適しています。
また電子申請は役職員の特定個人情報(マイナンバー含む)を取り扱いますので、電子申請に使用するパソコンの操作は、人事担当者に限定する必要があります。特に電子証明書ファイルは代表者以外のパソコンには絶対にインポートしないように注意しましょう。
インターネット環境については契約プロバイダの回線限定で使用すべきです。例えば出先で無料の公衆Wi-Fiなどに接続すると、ちょっと知識のある者であれば、公衆Wi-Fiを伝って他人のパソコンに侵入できますので、特定個人情報や電子証明書を盗まれるリスクがあります。
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