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人材の質向上を通じたカスハラ予防の具体的手法

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人材の質向上を通じたカスハラ予防の具体的手法

はじめに

本記事は、日本の産業界においてカスハラ被害がワースト上位のスーパーマーケット業に特化したカスハラ対策シリーズ(全6回)の第4回目です。これまでの3回では、カスハラのリスク分析、対応ポリシーの策定、そして効果的な研修の実施方法をお伝えしてきました。

しかし、これらは全て「カスハラが起きてから」の対処法でした。今回は視点を変えて、「そもそもカスハラを起こさせない」ための根本的な解決策をご提案します。

当事務所の代表は人事部出身の社会保険労務士です。そして以前は大手スーパーの販売課長として、数多のカスハラ行為に対処してきました。本記事では代表の経験からたどり着いた結論、「人材の質向上を通じたカスハラ予防の具体的手法」を解説いたします。

【PR】日本法令SR第79号に寄稿しました

当事務所代表の山口が日本法令の開業社労士専門誌「SR第79号」のカスハラ研修受託の実務~スーパーマーケット業編の執筆を担当しました。

本誌は開業社労士のためのビジネス情報誌ですが、スーパーマーケット経営者にとっても有益な内容となっています。もしご興味があれば最寄りの書店もしくは楽天ブックスからご購入いただけます。

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なぜカスハラは起きるのか?

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カスハラ対策だけでは限界がある…

カスハラを放置すれば、優秀な人材が次々と離職し、営業エリアでのパート・アルバイトの採用が困難になります。やがてマンパワー不足によって店舗運営そのものが立ち行かなくなる—これは多くのスーパーマーケット事業者が直面している深刻な問題です。

これらの問題を解決するには、本シリーズの第1回目~第3回目の記事でお伝えしてきたように、明確なカスハラ対応ポリシーの確立、カスハラ発生時の全社的な対応フローの構築、全従業員へ周知徹底を図るための研修の企画・運営が必要となります。

しかし、カスハラ対策は永遠のイタチごっこです。

特に悪質なカスハラ行為者は、常に「カスハラしやすそうな店」を物色しており、スキあらばカスハラ行為に及びます。たとえ対策を講じていても、カスハラ対応は決して楽しい仕事ではありません。できることなら、カスハラそのものが起きない方が良いに決まっています。

実はカスハラの7割は予防可能である

厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」によると、スーパーマーケットで発生したカスハラのうち、店舗側に全く落ち度がなかったもの(=当初から悪意をもって行われたもの)は、わずか3割に過ぎません。

実はカスハラの7割は、正当なお客様のクレームに対する店舗側の初期対応の拙さゆえにエスカレートしてしまった結果です。つまり正当なクレームを適切に処理できれば、あるいはクレーム自体を減らすことができれば、カスハラの芽を事前に摘み取ることができるのです。

長年スーパーマーケットで販売業務に従事してきた当事務所代表の経験によると、クレームの原因は主に次の3つに集約されます。

1. 商品関連(価格設定、品揃え、鮮度管理)
2. 売場関連(営業時間、清潔感、買い回りのしやすさ)
3. 接遇関連(スタッフの身だしなみ、言葉遣い、対応態度)

すなわち、販売活動全体の質を向上し、クレームを減らすことが、最も効果的なカスハラ予防策なのです。

人事マネジメントがカスハラ予防の鍵

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スーパーマーケットは「人」が全て

スーパーマーケット業は典型的な労働集約型産業であり、対人サービス業です。事業活動の大部分が人の手を介して行われ、スタッフの質がサービスの質にダイレクトに反映されます。つまり、会社の業績は人材マネジメントの巧拙で決まると言っても過言ではありません。

仕入価格、人件費、光熱費が高騰している今日、利益確保は多くのスーパーマーケット事業者にとって至難の業です。そこで多くのスーパーマーケットでは利益率の高い生鮮部門や惣菜部門の強化に注力しています。

しかし、生鮮3部門と惣菜部門の担当者には商品の加工技術、シビアな鮮度管理、広く深い商品知識が求められます。これらのスキルや知識は一朝一夕で習得できるものではなく、熟練した人材を育成するには質の高い人材教育システムの確立が不可欠です。

人材が育たない会社に共通すること

ところで「ウチだって一生懸命に社員教育に取り組んでいるのに、なかなか優秀な人材が育たない。やっと育ってきたと思ったらすぐ辞めてしまう…」と嘆く経営者は少なくありません。しかしこういった経営者は人材育成の本質をきちんと理解できていないと思われます。

人事のプロから言わせて頂くと、やみくもに社員研修ばかり注力しても有能な人材は育ちません。人材育成とは、労務コンプライアンスと明確な人事戦略を土台とし、採用→教育→評価→処遇の4つの要素が有機的に連携してはじめて効果が期待できるものなのです。

カスハラ予防のための人事評価制度

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人事評価の目的を理解してますか?

この章からは、先ほどご紹介した「4つのE」のうち、カスハラ予防に直結する人事評価制度人材教育制度に焦点を当てて解説します。

人事評価と人材教育は表裏一体の関係です。人事評価制度の役割は、「自社の従業員にどのような人材に成長してほしいのか」という成長の方向性と達成基準を明確に示すことです。

同時に、人事評価制度は人材教育・研修の成果を測定する重要な物差しでもあります。教育・研修は「やりっぱなし」では効果が期待できません。必ず成果を確認し、本人と上司にフィードバックして継続的な改善を促すプロセスが不可欠です。

職業能力評価基準で制度設計する

厚労省ホームページより転載
※誤植訂正(×)上級バイザー⇛(○)上級バイヤー(筆者注)

豊富な資本力と人材を擁する大手企業とは異なり、地方の中小スーパーマーケット事業者の多くは、独自の人事評価制度を構築する予算と人材が不足しているのが現実です。「忙しくて人事評価制度なんか作る余裕などない…」という経営者の声が聞こえてきそうです。

そこで強く推奨するのが、厚生労働省の「職業能力評価基準(スーパーマーケット編)」をベースとした人事評価制度の構築です。

これは、スーパーマーケット事業に従事する人材に求められる知識、スキル、行動習慣を階層別・職域別に体系化した優れたツールです。当事務所代表も元販売課長の視点で内容を精査しましたが、自信をもって推奨できる実践的で汎用性の高い内容となっております。

職業能力評価基準スーパーマーケット編

職業能力評価シートにはキャリアマップと職業能力シートのほか、スーパーマーケット事業者がこのツールを活用して人事評価と人材育成を行うための手引書も用意されています。

なおスーパーマーケット業はパート・アルバイト雇用率が高いのが特徴ですが、制度設計にあたって同一労働同一賃金やパートタイム有期雇用労働法などにもご留意ください。

効果的な人材教育制度の確立する

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社員教育の軸が定まらないときは…

「人材教育の重要性は理解しているが、何をどう教育すればよいかわからない」という経営者の声をよく耳にします。そんな時は人材教育の目的を考えてみましょう。人材教育の目的とは、従業員が自社の経営理念にふさわしい価値観と行動習慣を習得させることです。

あるべき価値観と行動習慣が企業における「行動規範」と呼ばれるもので、行動規範は就業規則と人事評価基準に具体的に落とし込まれます。したがってまずは従業員が就業規則を遵守し、人事評価基準の合格ラインに到達できるようなプログラムから検討すべきです。

なお就業規則と人事評価基準の主な違いは次のとおりです。

  • 就業規則
    ・組織の秩序を維持するため従業員が遵守すべき就業ルールを定めたもの
    ・会社も従業員も就業規則の規程に拘束され、遵守する法的義務が生じる
    ・原則として全ての条項が全ての従業員に一律に適用される
  • 人事評価基準
    ・従業員の働きぶりや成果を客観的に評価し、結果を処遇に反映させる
    ・人材育成の促進、組織のパフォーマンス向上などの効果が期待できる
    ・従業員の役職や職域により適用される評価の基準が異なる

販売士検定を活用して実践的な教育を

カスハラ対応ポリシーの教育と基本動作の習得は必須ですが、カスハラ予防により効果的なのは、冒頭でお伝えした販売活動の質向上です。

そこで前章では職業能力評価基準に対応した教育・研修プログラムの策定をお勧めしましたが、この職業能力評価基準そのものは、スーパーマーケット業における階層別・職域別の評価項目を明らかにするものであり、個別事項についての詳細な解説は含まれていません。

そこで活用したいのが、日本商工会議所の「販売士検定」です。

販売士検定は流通小売業従事者を対象とした資格制度で、業界に必要な幅広い知識を体系的に学ぶことができます。1級から3級まで段階的に設定されており、経営戦略から店頭での販売・接遇技術まで網羅的にカバーしたオール・イン・ワンの教材です。

級別の対象レベル:

  • 1級販売士:経営者・事業部長レベル(経営戦略、マーケティング、関係法令等)
  • 2級販売士:店長・販売課長レベル(店舗運営、販売管理、マーチャンダイジング等)
  • 3級販売士:売場主任・販売員レベル(商品知識、売場作り、販売技術、接遇マナー等)

当事務所の代表も1級販売士です。販売士検定の学習を通じて習得した知識を日々の販売活動を通じて実践することにより、自社のリテラシーがワンランクアップします。学習と実践の成果を社内で共有することで、自社独自の販売ノウハウも蓄積されます。

道の補助金活用によるカスハラ対策のご案内

道内の中小スーパーマーケット事業者に朗報!
北海道中小企業総合支援センターの専門家派遣事業を活用して無料でカスハラ対策できます

北海道中小企業総合支援センターでは、道内の中小事業者の経営基盤強化や経営改善のために、公費による専門家派遣事業を行っています。小売業のカスハラ対策についても、訪問なら3回(1回あたり6時間)、オンラインなら6回(1回あたり2時間)まで、無料で専門家のサポートを受けられます。弊社代表の山口も同センターの登録専門家ですので、カスハラ対策にあたっては、ぜひ専門家派遣事業のご活用をご検討ください。

北海道中小企業総合支援センターロゴ
(ロゴをクリックしてください)

まとめ

予防医療からカスハラ予防を考える

カスハラ対策は一時しのぎの対症療法に過ぎません。本当に大切なのはカスハラを発生させない予防です。

これは医療と同じ考え方です。病気や怪我で病院を受診し治療を受けるのは対症療法ですが、より重要なのは定期健康診断の受診や生活習慣の改善による予防医療です。医療政策でも予防医療が重視されているのと同様に、カスハラ対策でも予防が最重要なのです。

カスハラ予防の核心は、質の高い人事制度の確立と適切な運用にあります。自社の人事制度は健全か?問題があるとすればどう改善すべきか?これらを診断するのが、人事の専門家である社会保険労務士の役割です。

労務コンプライアンス診断®のご案内

当事務所では全国社会保険労務士会の経営労務診断®サービスを提供しております。経営労務診断®は全国社会保険労務士会連合会の労務コンプライアンス診断のテンプレートにもとづき、担当社労士がクライアントの労務コンプライアンスを審査するものです。

審査をパスすると、審査のレベルに応じた3段階の認証マークを付与され、自社のホームページや採用サイトなどに表示することができます。人材が命であるスーパーマーケット業において、ホワイト企業であることはマスト要件です。ぜひご検討ください。

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