
令和7年度の労災保険料率
労災保険料率は、労災事故発生リスクに応じて産業ごとに設定されています。流通小売業は、例年、全産業の中でも低めの3/1000(0.3%)となっており、令和7年度の労災保険料率についても、前年度と同率に据え置きとなりました。
労災保険の補償対象は原則として労働者に限られますが、一定規模以下の中小事業主も特別加入が可能です(小売業は常勤労働者50人以下の事業者が対象)。また、フリーランス法の改正に伴い、一人親方のための特別加入制度に、フリーランス業が追加されました。
労災保険料の計算と納付方法
労災保険の保険年度は毎年4月から翌年3月までです。保険料は「労働者に支払った年間賃金総額」に「自社の事業に該当する労災保険料率」を乗じて計算します。ちなみに流通小売業の労災保険料率は3/1000(0.3%)となっています。
労災保険料は雇用保険料とセットで年度ごとに申告・納付します。これは「労働保険料の年度更新」と呼ばれるもので、当年度の概算額をいったん納付し、翌年度に実際の賃金総額をもとに確定保険料を算定して相殺する仕組みです。
労災保険料は全額事業主負担
労働基準法では、業務災害にあった労働者の療養費や休業中の生活費などの補償を事業主に義務付けています。しかし事業主の資力不足によって被災労働者への補償が不十分になることを防ぐため、まず労災保険から災害補償を行う仕組みになっています。
このように労災保険は、労働基準法に定める事業主の災害補償責任を代行するものなので、労働者を一人でも使用する事業は、労災保険に強制加入することになっており、保険料は全額を事業主が負担します。
労災隠しは厳しく処罰される
労災保険にはメリット制度があります。これは労災事故の多い事業主は翌年度の保険料率を引き上げ、労災事故の少ない事業主は保険料率を引き下げるというシステムです。
保険料率の増減は40%の範囲内で行います。例えば流通小売業では、前年度の労災発生状況により、法定料率0.3%に対して40%をプラス・マイナスします。つまり労災件数に応じ、0.18%~0.42%の範囲で保険料が決定されます。
このため、労災保険料の負担増を避けようと、労働者に健康保険で医療機関を受診させる「労災隠し」を行う事業主がいますが、これは犯罪行為です。労災隠しが発覚すると、違反した労災事故1件につき50万円の罰金が科されますのでご注意ください。
労災保険料に関する根拠法令
労働保険制度には労災保険と雇用保険の2つがあります。保険給付の手続きはそれぞれ労働者災害補償保険法と雇用保険法に定められていますが、保険料の徴収ルールに関しては、行政事務の合理化のため、労働保険徴収法に一本化されています。
これが各法令の中で保険料の給付と徴収が完結する健康保険や厚生年金保険との大きな違いです。なお労働保険徴収法は保険料納付に関する手続法であり、口座振替や延納に関する規定が中心なので、実は経理担当者の方が詳しいことも珍しくありません。
RWC合同会社/RWC社労士事務所のサービスを詳しく知りたい

🍀無料カウンセリングを受ける🍀
悩んだらまずはお気軽にお問い合わせください。