
就職祝い金が全面禁止になります
2025年4月より職業安定法にもとづく省令および指針の一部が改正され、全ての人材サービス事業者について、自社のサービスを利用して採用内定した求職者に、就職祝い金(実態は自社サービス登録促進のためのインセンティブ)を提供することが禁止されます。
就職祝い金には現金のほか、ギフト券や金銭的価値のあるポイントなども含まれます。なお人材サービス事業者とは、職業安定法に定める募集情報等提供事業者(求人誌や転職サイト)および職業紹介事業者(人材紹介サービス)をいい、厚生労働大臣の許可事業となっています。
雇用仲介事業者は新たなルールへの対応が必要です(厚生労働省)
全面禁止は違反行為に対する牽制?
職業紹介事業者に対しては、すでに2021年から就職祝い金が禁止されていました。今回はさらに募集情報等提供事業者まで適用範囲が拡大されましたが、その背景には人材サービス事業者において、違反行為(恐らく脱法的行為)が蔓延していた事情があったようです。
あくまでも私の推測ですが、まず募集情報等提供事業(転職サイト)において、就職祝い金で求職者を集めつつ、求人企業に対しては、職業紹介事業者として人材紹介サービスを提供し、高額な成果報酬(内定者の理論年収の25〜55%)を得ていたのではないかと思われます。
問題となのは”転職ころがし”行為
就職祝い金禁止の原因は”転職ころがし”です。”転職ころがし”とは、再就職した元求職者に、再び就職祝い金をチラつかせて転職をそそのかし、新たな転職先から成果報酬を得ようとする行為です。これが人材の健全なキャリア形成を阻害していると問題になっています。
人材サービス事業者は求職者から利用料を徴収できません。主な収入源は求人企業からの求人広告料や人材紹介の成果報酬ですが、定額制の前者に比べ、後者は取扱件数に応じて成果報酬が青天井で伸びてゆくため、”転職ころがし”が横行しているのではないかと思料します。
厚生労働大臣許可事業たる理由
募集情報等提供事業や職業紹介事業が、厚生労働大臣許可事業とされている理由は、戦前の人身売買からの反省です。労働基準法でも中間搾取(他人を取引してマージンを得ること)を禁止しています。しかし件の転職ころがしは、もはやコモディティ取引の様相を呈しています。
”転職ころがし”が横行するもうひとつの理由として、業界特有の過酷な営業ノルマがあると推察します。私が人事部長だった頃は、自社の採用ページに新着求人を掲示したとたんに、人材会社から、朝から晩までひっきりなしに営業電話がかかってきて辟易させられたものです。
ダイレクトソーシングの時代
近年、新たな採用手法として注目されているダイレクトソーシングとは、オウンドメディアを通じて自社の事業内容や活動を世間に周知し、リアクション頂いた方々とのインタラクティブなやりとりを通じて相互理解を深めつつ、ジョインに至る新しいリクルーティングです。
その心は採用活動を行わなくとも、自社のミッションやバリューに共感した人から、常に求職オファーが絶えない職場ブランドの確立ですが、これにより採用ミスマッチが減り、従業員の定着率が向上することで、安易な”転職ころがし”も減るのではないかと期待しています。
なおダイレクトソーシングを成功させるには、自社のミッションやバリューをきちんと定義づけし、適切な人事戦略と労務コンプライアンスに則った採用→教育→評価→処遇のプロセスを構築することです。弊社であれば一気通貫でそれらを実現するお手伝いができます。
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