
復職時の配置転換をめぐる裁判
2025年3月13日付の労働新聞によると、病院のリネンサプライを請け負う企業の労働者が、病気による休業から復職する際に、倉庫業務に配置転換されたことを違法であると訴えた裁判で、東京地方裁判所は、会社の配置転換命令を有効であると判断しました。
この裁判の争点は、労働者の復職判断を巡る主治医と産業医の意見の相違です。主治医は休業前の業務に復職することは問題ないとした一方で、産業医は従前の業務は院内の様々な感染症に罹患するリスクがあるため、配置転換が適切であると事業主に意見を述べていました。
そして裁判所は判決文の中で、主治医と産業医の意見が相違する場合、会社がどちらが正しいかを判断することは困難であるとしたうえで、就労現場をより詳しく把握している産業医の意見を優先し、復職後の配置転換を決めた会社の対応には合理性があると結論付けたのです。
主治医と産業医の違いとは?
労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、産業医を選任する義務があります。産業医の主な仕事は、月に1回以上の事業場巡視や、衛生委員会の出席、健康診断やストレスチェックの異常所見者に対する措置、長時間労働者の面接指導などです。
主治医と産業医の違いは、前者が診療所や病院のかかりつけ医(つまり担当医師)を指し、後者は医師のうち、所定の産業医基礎研修を修了し、厚生労働大臣の認定を受けた医師であるという点です。産業医認定は5年毎に所定の研修を受け、更新する必要があります。
産業医の選任は、事業場の最寄りの病院や診療所の産業医に委嘱するパターンが一般的です。なお産業医の選任義務は会社単位ではなく、本部や店舗など事業場単位であること、また常時50人以上にはパートやバイトのほか派遣社員も含まれることに注意しましょう。
人事部を悩ませるケース
かつて人事部門と医療法人で働いていた経験からいえば、実務において前述の労働裁判のようなケースは珍しくありません。たいていは労働者側は主治医の診断書をもとに、また企業側は産業医の意見書をもとに、それぞれの言い分を主張することが多いと感じました。
特にメンタル不調による長期休業の必要性もしくは長期休業からの復職判断において、こういった事例が顕著でしたが、心療内科などは、患者の主訴に沿った診断書を作成する傾向が強いというような話を、当時の勤務先の医師から聞いたことがあります。
ともあれ企業側が最も慎重になるのは、傷病による休業からの復職判断です。元の傷病が業務外であったとしても、復職判断を誤ることによって、傷病の程度が増悪してしまい、その原因に業務遂行性と業務起因性が認められる場合には、労災認定される可能性があります。
産業医サービスお取次ぎします
産業医の選任義務の無い事業場でも、産業医療の知識をもつ医師に、労働者の健康管理のサポートを委嘱する努力義務があります。しかし産業医は絶対数が少ないうえに、ようやく見つけたとしても、すでに多くの関与先を抱えていて委嘱を断られることもあります。
そんな時はぜひ当事務所にご相談ください。当事務所では、産業医の紹介サービス事業者、あるいは産業医のスポット面談サービス事業者にお取次ぎできます。あくまでもお取次ぎなので、紹介料等は無料です(サービスや料金の交渉はお客様の側で行って頂きます)。
ほかにも安全衛生委員会の設置と運営、医師面談後の安全配慮措置(配置転換や勤務時間短縮措置)など、社会保険労務士の専門的知見から、有益なアドバイスをさせて頂きます。
RWC合同会社/RWC社労士事務所のサービスを詳しく知りたい

🍀無料カウンセリングを受ける🍀
悩んだらまずはお気軽にお問い合わせください。