
毎年4月は入社手続の繁忙期であるという職場は少なくありません。そして入社手続の中でも社会保険と税金に対して苦手意識をお持ちの方は少なくないでしょう。そこで今回は意外と知られていない社保と税金の豆知識などについて、いくつかご紹介します。
社会保険の手続き
健康保険
社会保険制度の最大の特徴は、要件適合=強制加入という点です。なお短時間労働者について、健康保険では週の所定労働時間が正社員の3/4以上、もしくは3/4未満でも事業場の被保険者数が51人以上なら原則として強制加入です(昨秋の法改正で101人→51人に変更!)。
健康保険の届出は採用日から5日以内ですが、例年この時期は入社手続が集中するために、健康保険証の発行が遅れがちです。そこで予め所轄の年金事務所で「健康保険被保険者資格証明書」を交付してもらい、健康保険証が届くまでの代用とできます(20日間有効※要返却)。
厚生年金保険
厚生年金保険の加入要件と届出ルールは概ね健康保険と同一です。新入社員に「基礎年金番号通知書」を提出してもらい、番号を資格取得届に転記したうえで、健康保険の届出とセットにして所轄の年金事務所に提出します(健康保険の届出は年金事務所経由で行います)。
厚生年金と国民年金はセットになっているため、入社後は従前の国民年金に厚生年金保険が上乗せされます(二階建て年金制度)。ただし国民年金の保険料は納付しません。これは日本年金機構が全国から集めた厚生年金保険料の一部を、国民年金に拠出しているからです。
労働保険の手続き
雇用保険
週の所定労働時間が20時間以上の労働者は雇用保険に加入します。役員も被保険者となる社会保険と異なり、労働保険は労働者限定です。ゆえに雇用保険では報酬を賃金、被保険者を労働者といいます。雇用した日の翌月10日までにハローワークに提出します。
社会保険料は労使折半で負担します。健康保険料と厚生年金保険料は、事業主負担分を当月の福利厚生費で計上し、被保険者負担分を翌月の給与から控除しますが、雇用保険料は労働者負担分を当月の賃金から控除し、労働保険年度更新の時に事業主分と合算して納付します。
労災保険
労働者を1名でも使用する事業主は労災保険に強制加入します。労働者には正社員のみならずパートタイマーやアルバイト、派遣社員も含まれます。また労働者ごとに保険に加入するのではなく、事業場単位で適用されるため、労災保険には被保険者という概念がありません。
労災保険は、労働基準法に定める事業主の災害補償責任を代行する制度です。事業主の資力不足によって、被災労働者に充分な補償が行われない事態を防ぐための制度なので、保険料は事業主が全額負担します。保険料は労働保険年度更新の時に、雇用保険料と合算します。
税金関係の手続
源泉所得税
入社直前の1月〜3月の間に、前の勤め先やアルバイト先から給与の支払いを受けた者は、退職時に交付された「源泉徴収票」を、新たな職場に提出しなければなりません。これは年末調整において1月〜12月の総支給額を計算する際に、前職の給与も合算するためです。
なお入社時に「扶養控除申告書」も提出してもらいましょう。源泉所得税は月々の給与から概算額を控除し、年末調整において確定年税額と調整(相殺)しますが、扶養控除申告書が未提出だと年末調整ができないばかりか、高額な税率(乙欄)が適用されてしまいます。
個人住民税
地方税法では、サラリーマンの個人住民税は勤務先が給与から天引きし、従業員の住所地を管轄する市町村ごとに、毎月納付することになっています。これを特別徴収といい、中途採用した場合は、前職から特別徴収を引き継ぐ旨を、市町村役場に通知しなければなりません。
個人住民税は「市町村給与支払報告書(前年の年末調整の結果)」をもとに税額を決定し、6月から翌年5月にかけて月割で徴収します。したがって前年所得のない新卒採用者については、入社年に限り個人住民税は徴収されません(翌年に住民税額決定通知書が届きます)。
マイナンバー取り扱いは慎重に
これら手続には、マイナンバー情報が必要です。しかしマイナンバーは特定個人情報なので厳重な取り扱いが求められます。通常はマイナンバー取り扱い事務を人事部限定とし、人事部の執務室を特定個人情報管理区域に指定して、部外者立ち入りを禁ずる等の措置を講じます。
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