テレワークとはどんな働きかたか?

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して場所や時間を有効活用できる柔軟な働き方をいい、主に3つの形態があります。テレワークの語源は「テレ(遠隔で)」+「ワーク(働く)」を組み合わせた造語であり、リモートワークとほぼ同じ意味で使われています。
<テレワークの3つの形態>
- 在宅勤務~自宅を拠点とした勤務形態。通勤時間が不要で、家庭との両立がしやすいのが特徴です。
- サテライトオフィス勤務~コワーキングスペースやシェアオフィスなどでの勤務。自宅では仕事に専念しにくい方に適しています。
- モバイル勤務~ノートパソコンやスマートフォンを活用し、移動中や出先で業務を行うスタイル。外勤の営業職に多く見られます。
また、最近注目されているのが「ワーケーション」です。これはワークとバケーションを組み合わせた働き方です。本来は長期休暇促進のためにテレワークを活用したものでしたが、最近は地方創生の観点から、移住促進の施策としても活用されているようです。
テレワークが注目される背景
労働力不足への対応

日本は2008年をピークに人口減少が続いており、労働力不足が顕在化しつつあります。そんな状況にも関わらず、介護と仕事の両立困難による離職者の増加が社会問題となっていますが、就労場所や時間の制約を受けづらいテレワークによる介護離職防止が期待されています。
働き方改革の推進

出生率の低下(1970年の2.13人から2020年には1.33人まで減少)も深刻な社会問題です。その原因のひとつに、日本の職場では子育てと仕事の両立が難しいことがあげられますが、テレワークの活用により、出産による女性の離職防止や男性の育児参加が促進されるでしょう。
地方創生の切り札

地方では就労機会の乏しさゆえに若者が流出し、消滅可能性都市や限界集落が大きな問題となっています。テレワークが普及すれば、自然豊かな地元で暮らしながら都会の企業で就労したり、地方の企業が都市部に偏在するスキルドワーカーを活用することも可能となります。
環境負荷の軽減

日本は温室効果ガス削減を目的とした京都議定書を批准しています。その温室効果ガスの最たるものが二酸化炭素ですが、マイカー通勤による二酸化炭素排出量は、公共交通機関利用時の8倍にも達します。テレワークが普及すれば、通勤による環境負荷を大幅に削減できます。
クルマ通勤者のテレワーク 首都圏CO2最大9.7%減(2022年6月14日付け日経新聞)
BCP(事業継続計画)の確立

BCPとは自然災害や感染症パンデミックなどの非常時における事業継続計画のことであり、企業において必須のリスクマネジメントのひとつです。非常時における指揮命令系統としてテレワークを活用することはBCP的には有効であり、社内が機能不全に陥ることを回避できます。
BCP(事業継続)対策のテレワーク・事例(日本テレワーク協会)
テレワークを導入する5つのメリット
労働生産性の向上

テレワークでは「空気を読め」「雰囲気で察しろ」といった受け手依存のコミュニケーションは通用しません。上司は部下に対し、チャットとWeb会議を適切に使い分けながら5W2Hにもとづき具体的に指示する必要がありますが、それによって社内の労働生産性が向上します。
ナレッジの最大活用

社内情報をクラウドで一元管理することで、従業員の暗黙知(個々の経験則)を形式知(共有可能なノウハウやドゥハウ)として共有できます。いわゆる「ナレッジマネジメント」を確立することで、自社を「学習する組織」に進化させることが可能となります。
従業員満足度の向上

テレワークによって不毛な通勤や自分に関係の無い電話や来客応対といった雑用から解放され、コア業務に集中できるようになります。コア業務すなわち専門性を高める機会が増えると、自己実現欲求の充足にもつながり、結果的に従業員の定着率が上がります。
なお、2025年4月施行の改正育児介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者の時短勤務の代替措置として、テレワークが追加されました。また通常勤務においても、テレワークを選択できるような勤務体系を導入する等の努力義務が事業主に課されることになりました。
固定費の大幅削減

完全テレワーク移行による通勤手当、オフィス賃料、交通費、印刷代(複合機の保守料)などの削減効果は絶大です。特に都心部では賃料削減効果が顕著に現れます。あわせてIT導入補助金や人材確保等支援助成金(テレワークコース)の活用も積極的に検討しましょう。
IT導入補助金2025(経済産業省)
人材確保等支援助成金_テレワークコース(厚生労働省)
情報セキュリティの強化

電子ファイルをやりとりするため、書類の置き忘れや紛失による情報漏洩リスクが無くなります。クラウドストレージに格納したファイルのリンクをビジネスチャットで共有すれば、PPAP(ハッキングやマルウェア感染、誤送信、無断複製)リスクも回避できます。
成功の鍵は目的の明確化

テレワークの是非を論じる記事を時々目にすることがありますが、テレワークは単なる手段であり、導入すれば自動的に生産性が上がるものではありません。重要なのは、なぜテレワークを導入するのか、その目的を明確にした上で、目的に沿った運用を行うことです。
<目的別導入のポイント>
- 人材不足解消が目的の場合~就業規則の整備、裁量労働制の導入検討、業務委託契約の見直しから始めましょう。
- ワークライフバランス実現が目的の場合~テレワーク実施の条件(期間、頻度、対象者)を明確に定めることが重要です。
- コスト削減が目的の場合~削減効果とシステム導入費用の比較検証を行い、補助金の活用も検討しましょう。
- BCP策定が目的の場合~定期的な訓練実施が不可欠です。段階的にレベルアップしていく計画を立てましょう。
テレワーク導入のまとめ

テレワークは現代の働き方改革において重要な要素ですが、導入の成否は明確な目的設定にかかっています。自社の課題を把握し、適切な目標を設定した上で、PDCAサイクルを回しつつ段階的に導入したり、対象とする範囲の拡充を進めることが成功への近道です。
労働力不足、環境問題、働き方改革など、様々な社会課題の解決策として注目されるテレワーク。しかし何より大切なのは、従業員一人ひとりが生き生きと働ける環境を作ることではないでしょうか。テレワークを通じて、より良い職場環境の実現を目指しましょう。
当社とテレワークのはなし

リモートワークスコンサルティングは、2020年春のコロナ緊急事態宣言時に、600人規模の人事業務をフルリモート化した経験から生まれました。TeamsやM365を駆使し、人事マネジメントの大部分をWebで完結したのです。特に業務プロセスを可視化し共有することが、チームの生産性向上とエンゲージメント強化につながることを確信し、リモートワークの啓発と普及を通じ、多くの事業者の成長と日本経済の発展に貢献することを目指しています。
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